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「マクベス」朝日新聞劇評

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    朝日新聞に劇評が載りましたので、ご紹介します。


    大衆の欲望 魔女が象徴
    シアターコクーン「マクベス」

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     このところ演出家としての活動が目立つ劇作家の長塚圭史。今回は初めてシェークスピア劇に挑み、悲劇「マクベス」を演出した(松岡和子訳、Bunkamura製作)。
    シアターコクーンの通常の舞台を使わず、客席部分に六角形の舞台を置いて、観客がそれを周りから囲んで見る上演スタイルが面白い(池田ともゆき美術)。俳優たちが間近に見える効果がある。流血劇だが血のりを使わないなど、派手な視覚的効果を排したすっきりした演出である。
     特に興味深いのは、マクベスを予言で操る3人の魔女(三田和代、平田敦子、江口のりこ)の解釈。魔女たちは客席から登場し、何度も客席に戻る。要するに、魔女は観客の代表という設定。魔女はマクベスをそそのかし、王位に就けた上で引きずり下ろすことを楽しむ、大衆の残酷な欲望の象徴なのだ。シェークスピア劇に現代社会を重ねる演出だから、衣裳は当然、現代服(伊藤佐智子デザイン)。
     客席に置かれた多くのビニール傘が、劇中で観客参加型の趣向に使われるが、これもこうした魔女の解釈と関係がある。ダンカン王などを演じる中嶋しゅう、バンクォー役と医者役の風間杜夫、ロス役の横田栄司などベテラン陣が中身の濃い秀逸な演技を見せる。
     マクベス役の堤真一は二枚目型ヒーローの魅力を放つが、演技の肌合いが明るいこともあって、マクベスが内部に抱える闇が見えて来ない。愚かな人間が作る歴史についてマクベスが後半で語る名台詞も、もっと心にしみるものにしてほしい。マクベス夫人の常盤貴子は健闘しているが、台詞回しにまだ幼さが残る。演出は主演陣の演技にももっと踏み込んでほしい。
                (扇田昭彦・演劇評論家)

    ****************************

    私が(勝手に)師と仰いでいる、扇田昭彦先生の劇評です。
    (劇評の講義を受けたり、私の書いた劇評を見ていただいたり、
    お酒を一度ご一緒したりしたことがあります♪)
    だいたい同じような感想持たれたようで、自分の感想とあまり違わなかったことに安心しました。

    扇田先生の劇評は、「演出」を主眼にして書かれていますね。
    マクベスはものすごい数 上演されている作品。
    その中で、今回特筆すべきは、やはり演出の仕方、長塚圭史の演出手法、というところだったのでしょう。

    堤さん、評価低いですね(笑)
    見た目の美しさ、かっこよさは堪能できるけれども、闇が見えてこない、という感じの論調です。
    私も似たような感想は持ちましたが、
    私は、闇を見せないような演出が成されたのかなと受け取りました。
    悲劇色を排し、滑稽で愚かな男という部分を強調したのかなと。
    しかし、マクベスの悲劇性、どろどろした救いようの無さこそが、この物語の胸を揺さぶる部分ですから、
    そこが薄まったことに不満を抱くシェイクスピア通はいるかもしれない、
    ・・・と、以前の記事にも書いたと思います。
    扇田先生も、山ほどシェイクスピアを見ていらっしゃるし
    蜷川幸雄さんとも親しいので、蜷川さんのシェイクスピア劇は星の数ほど見ているでしょう。
    そういう目の肥えた扇田先生からしたら、「ちょっと違うなあ」と思われたのかもしれません。

    蜷川さん演出の、正統派シェイクスピア劇で、堤さんが主役をやったら
    どんな風になるでしょうねぇ、扇田先生?


    主演陣にもっとちゃんと演出をつけろ、というご意見には賛成です。
    いや、私は常々思っていたんですよ。堤さんもっとできるでしょ?って。
    最近、笑いとか、脱力系とか、そっちに逃げてない?って。

    たとえば、話は飛びますが
    「プリンセス トヨトミ」で、鬼の松平を、ボンヤリした感じに作ったじゃないですか。
    あれは堤さんなりのアプローチかもしれないけれど
    やっぱりあれは、鬼の検察官だったほうがしっくりきたと思うんですよ。
    そういうことをね、堤さんが作って来たものに対して「いや、そうじゃなくてこっち」と
    ちゃんと言える演出さん、映画監督さんが、少なくなってるんじゃないかと
    心配なんです。
    堤さんが、"演技派ベテラン俳優"になってしまったがために。

    堤さんの役へのアプローチは、ユニークだし、間違ってはいないと思うんだけど
    最近、ゆるめな気がするんだよね。
    それに対して、堤さんをも納得させるビジョンと強さで、
    「いやこっちでやってください」と言える演出家さんが、少ないんじゃないだろうか。
    だからどことなく、似たり寄ったりの役柄になってしまうことが最近多いんじゃないかと・・・・。

    私はね、堤ファンですから、どんな堤さんでも好きですよ。
    でも「演劇ファン」としては、
    やっぱりマクベスは錯乱するような苦悩、人間性を失うような残虐性、
    すべてが狂っていく歯車の噛み合わなさ、人間の愚かさと無力さ
    そんなものを突き付けられたい、という期待を、一般的にはするんじゃないかな〜と思うんです。

    だから、物足りないと思う人がいるんじゃないかなと書きました。


    次の作品「ロンサム・ウエスト」も
    外国翻訳劇で、「TOPDOG/UNDERDOG」に似た感じにならなければいいけど、と
    ちょっと心配しているんです実は。

    その点、「断色」はよかったよね。
    いのうえさんは、堤さんをねじ伏せることができる演出家の一人だと思う(ねじ伏せるってww)



    扇田先生の文章に乗せられて、久しぶりに思うところを書きました。
    長くなって失礼しました。


     
    posted by: 観世 | 感想・レポ「マクベス」 | 22:48 | comments(2) | trackbacks(0) | - |

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      コメント
       
      2013/12/27 12:30 AM
      Posted by: みゆき
      マクベスというよりシェイクスピア作品は今回が初めてでしたのでよく分かりませんが、通な人には足りないのですか。。
      そっかぁ。。
      唆されて踊らされて、マクベス可哀そうと感じた点が関係したりするのでしょうか?
      (勘違いだったらすみません。。他にマクベス作品を映像で観られないものでしょうか。。比べる素材が私の中にありません(>_<))


      マクベス@シアターコクーンは大衆の怖さ…人を貶める凶器は誰にでもあるということを思わされたというか。。
      あの最後の赤照明と笑い声を思い出すと怖くて怖くて。。
      気付かないうちに動かされるんですね。人って。。


      「断色」!!
      もう!もう!何度も言いますが、私の中で一番です!
      今でも思い出しては動悸が起きそうですw
      保の夢と現実の境目が朧で、あの混沌とした雰囲気が忘れられません(>_<)
      保はあの世界でどう生きていったのでしょう。。あぁ。。。orz

      …何書きたかったんでしょう。。
      すみません。
      「断色」に反応しました!!
      2013/12/27 9:26 AM
      Posted by: 観世
      > みゆき さま

      「断色」に反応すると思いましたよ〜(笑)
      思い出してドキドキしたり胸がしめつけられる、
      あの後彼はどうしたのだろうと気になってしまう
      ・・・というのは
      堤さんの良い舞台でよくある後遺症です(笑)

      シェイクスピアは、本当にいろいろな劇団がいろいろな解釈でやっていますからね。
      文学座などのしっかりした劇団は、奇をてらうことなくしっかりシェイクスピアを感じられます。(ただ東京とかにいないと見られないのよね)
      蜷川さんはシェイクスピアシリーズを全部上演するということに挑戦したりしていまして
      原作に忠実ながらエンタメ色の強い豪華な舞台を作られます。
      蜷川さんの舞台はWOWOWでよくやっているので、見られるけれど、マクベスは・・・あまりやらないかなあ。

      ≫大衆の怖さ…人を貶める凶器は誰にでもあるということを思わされたというか。。

      ↑ こういう感想を持つマクベスっていうのが、けっこう珍しいのかなって、私は思います(^^)
      とはいえ、私だってそんなにたくさんのシェイクスピアやマクベスを見ているわけではないんですけどね。

      あ、映像でというなら、映画になってますよきっと。外国の古い映画。









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